爽やかな5月、遊びの幅を広げていきます

令和5年度が始まり、早いもので一ヶ月が過ぎました。新しく入園されたお子様達も、園生活に慣れて安心して過ごせるようになってきているようです。

連休明けに登園する時には、多少気持ちが乱れるお子様の姿も予測されますが、今のお子様達の姿を見ているとすぐに慣れますので、あまり心配せずお休みをしないで登園して欲しいと思います。

5月は、4月に引き続き心の安定感を大切に、年齢発達に合わせて、お子様の興味関心を刺激するような環境を整えながら様々な遊びを取り入れていきます。

自分の好きな遊びを見つけて楽しく遊ぶ、没頭して遊びに取り組む姿は、心の安定感があってこそ見られる主体的な姿です。担任たちが用意する楽しい遊びや保育環境も心の安定がなければお子様たちは受け入れようとしません。

心の安定のためには、早寝、早起き、しっかり朝食をとるなどご家庭での生活習慣を整えることも、大きく影響します。連休中にお出かけをして疲れが残ることもありますが、通常の生活リズムで安心して過ごすことが“心の安定”の基盤作りとなりますので、協力をよろしくお願い致します。

5月はお子様達が大好きな園外へのお散歩にもたくさん出かけます。爽やかな風を受けながら、五感を通して受ける刺激は、成長発達に大きな影響を与えます。

近隣の畑に植えられている野菜の苗や季節の花を発見するお子様達、特に幼児の場合には「あれは○○のお野菜の苗だよ」「○○の花だね」「木によって葉の色や形が違うね」など具体的に声を掛けると知識欲も増していきます。保育園でも5月中旬頃に夏野菜の苗植えを計画しています。

また幼児は、戸外遊びの機会を存分に取り入れながら、さらに遊びの幅を広げていきます。行事予定にもありますが、クラスごとに遠足に出かけます。

年齢によってねらいは異なりますが、楽しい経験を通して様々な刺激を受けること、自分のことは自分ですること(持ち物の管理)や、公共の場での約束事を知って覚えること、また遠足で体験したことをご両親に話したり、絵に表現するといったことをねらいに進めていきます。

「櫻」園長 若山 剛
(「櫻」おひさま 2023年5月号より抜粋)

「○○と」、「○○も」

子どもと先生、それから子ども同士が心をつなぐ、心を放つ、そのつながりになるキーワード、一番大切な言葉として、例えばダイチャンと、タッチャンに登場してもらうと、先生も一緒にダイチャンと遊ぶからね、ダイチャンと一緒ね、ダイチャンも一緒ねというように「○○も、先生も、ダイチャンも」それから「ダイチャンと、先生と、タッチャンと」というように「~も」の「も」という言葉と「~と」の「と」という言葉、それを保育の中でたくさん使ってください。(中略)会話の中で「も」と「と」をたくさん使うと心の共有を図る働きがある。一方で、「~は」と「は」を使うときには異なる、と著書の中で記している言語学者、幼児教育の専門家がおられます。

保育に限らず、家庭の中で、親子の会話、夫婦の会話、兄弟の会話の中でも「と」と「も」を使っていることが多いように感じます。

つまり「と」「も」とも(共)に、大切な思いを共有できていると自然と会話の中で使うことが多くなる2文字なのかも知れませんね。皆様はどのように思われますか。

「櫻」園長 若山 剛
(「櫻」つくしんぼ・そよかぜ 2023年3月号より抜粋)

13年後の自分へ

1月8日(日曜日)、翌日に成人式を迎える卒園生(43期生)と保護者の皆様が保育園を訪ねて下さいました。その成り行きはというと、13年前の平成20年度の卒園生保護者の方から子ども達が書いたメッセージや写真を四角い缶に詰め、13年後の成人式を迎える前日に保育園に皆で集まって開封したいという企画の提案から始まりました。

子ども達も担任たちももちろん大賛成、皆で協力して、なにを入れるかを相談をし、一人一人がメッセージや絵をかいて、写真等と合わせて缶に詰めました。卒園式当日、平成35年1月8日、成人式前日に保育園に集まって再会した後に開封することを約束し、タイムメッセージとして封印したのです。13年の間、私の書棚に大切に保管してあったものを8日に皆で開封したのです。

当日は卒園生27名、保護者18名が集まって下さいました。当時の担任3名(内現役2名)も参加させて頂き懐かしい会を催すことができました。当時の担任が一人一人の名前を呼んで袋に入ったメッセージを手渡すと“懐かしい~”と大騒ぎで友達と笑い合いながら開封する子、愛おしそうに開封して微笑みを浮かべカバンにしまう子などそれぞれでしたが、嬉しそうでした。

皆が立派に成長され、それぞれが目標に向かって歩んでいる様子を本人や保護者の方から伺うことができたことは、私たち地域に根ざす保育園として大変喜ばしい出来事でした。これからも見守っていきたいと思っています。

「櫻」園長 若山 剛
(「櫻」つくしんぼ・そよかぜ 2023年2月号より抜粋)

「大丈夫だよ、オムツしてるから」

「これから車に乗るから○○ちゃんもトイレに行っておこうよ」と2歳か3歳の子に話しかけるお母さん。子は考えている様子。

間髪入れずに「大丈夫だよ、オムツしてるから」とお父さん。結局、子の反応や意思表示はないまま、手をつながれて行ってしまいました。

 職業柄その後、どうなったのか気になってしまいました。

 これは立川のショッピングセンタートイレ前で私が見かけた光景です。皆様のご家庭だったらどのようにされたでしょうか。

“大丈夫だよ、オムツしてるから…” 気になるのはこの言葉です。
車の中で漏らして欲しくないお父さん、お母さんにとっては確かオムツをさせていれば大丈夫です。

子どもも座席を汚さずに済むわけですから大丈夫ということになるかも知れません。
ただ、子にとってはオムツにオシッコが出れば不快感を抱き本当は大丈夫とは言えないはずですが、“3回してもサラサラ”というコマーシャルが影響しているのでしょうか。

お母さんが“トイレにいっておこうよ”と問いかけた時に、子は自分の排尿感覚、でるか出ないかを自分で感じようとしていたかも知れません。でも、意思表示を待ってもらえず手を引かれて車に乗せられてしまったのかも知れません。

子が自身でオシッコがお腹(膀胱)にあるかを自覚するタイミングを逃さず、トイレ(オマル)に誘う、排尿ができたときに大いに誉める。この日々の繰り返しの中に排泄自立への近道があると思うのです。

たまたま出会った会話の一部ですから、お父さんの“大丈夫だよ”を批判しているわけではありません。衛生面を考えて外出先でトイレに行かせたくないという考えもあるでしょうし、もしもの時を考えてオムツをさせておきたいと思うのも当然です。

ただ、子が「オシッコ…」と訴えたり、トイレに誘える時にはトイレでできた方が子にとっては自立に向けて良い経験となるということ、子がオムツに尿がある不快感に慣れてしまうことが自立を遅らせることなど、オムツに頼りすぎない事の大切さを理解して頂きたいと思い、たまたま見かけた実例から書かせて頂きました。

過去に相談を受けた事例の中には、保育園ではトイレで排尿しているのに、お家ではわざわざオムツにはきかえて排尿、排便をする子の例もありました。

トイレで済ませることを教えることの方が自然だと思いませんか。

「櫻」園長 若山 剛
(「櫻」つくしんぼ・そよかぜ 2022年12月号より抜粋)

「子どもに手伝いをさせよう」

「ティッシュペーパー1枚ください」と言って園庭から事務所に入ってきたさくら組の女の子、鼻水が出ているのかと「はいわかりました、どうぞ」といってティッシュボックスからティッシュペーパーを一枚とって手渡しました。でも釈然としない表情をしています。「どうした?ちがうの?」と聞くと「うん、ちがう!」「こういうのって先生が…」と手で四角い形を作って訴えてきました。「あっ、ポケットティッシュかな」と言うと「うん、そうそう」と言うので、「わかりました、ポケットティッシュ一個だね、お手伝いありがとう」といって手渡しました。

保育園ではこのような場面は日常茶飯事です。少しのお手伝いも生活経験の一つだからです。頼まれた内容を理解して、覚えて、行動、相手に伝える、そして頼まれたことを実行する。お子様たちにとってはドキドキすることもあるでしょう。でもお手伝いを終えた後は、「ありがとう」と喜ばれ、相手に伝えられた事、行動した事は、お子様たちにとっては心が満たされ、自信が付く大切な経験の機会でもあるのです。

幼児のお子様はすすんでお手伝いしてくれるご家庭もあると思います。「自分の事もできないのにお手伝いなんて…」「逆に散らかる…」といった声も聞いたことがありますが、家族の一員としてできることをお手伝いをさせることで、喜ばれたり誉められるという経験を積み重ねると、自分から手伝いをするきっかけとなり、様々な場面で育ちの好循環をつくっていくことにもつながると思うのです。

園長 若山 剛
(「櫻」つくしんぼ・そよかぜ 2022年11月号より抜粋)

味覚が育つ大切な時期だから

先日、調理室から“今年はサンマを献立に入れられますか?”と相談がありました。“魚屋さんからは、今年は型が小さく一尾700円程すると言われています”とのこと。“秋の味覚だから味合わせてあげたいけどね・・・”と話しました。

随分前の事です。夕方のお迎えの際、階段下に置いてある、お子様たちが昼食と午後食で食べたものを展示するケースの前で、子ども(2歳)とお父様が一緒に、「きょうはなに食べたんだ?」と立ち寄っていました。「おっ、サンマか旨そうだな!」と。

ちょうど近くを通りかかった私は「お帰りなさい、今日はサンマを食べたんだよね、美味しかったね」と声を掛けました。「良いもの食べてますね~」とお父さん。

「時期ですからね、あぶらものって美味しかったですよ」「骨は自分でとるんですか?」「幼児は自分でよけて食べますが、○○ちゃんのクラスは大人がとってあげてるかな」「へえーそうなんだ」「それでこの緑の切ってあるやつは?」と聞くので、「これはカボスですよ」と伝えると、「えっ!こんなに小さいうちからサンマにカボスをチュッと絞って食べてるんですか?」と驚いて聞かれるので、「そうですよ、美味しかったよね○○ちゃん」と応えると、「うん、おいしかった」と嬉しそうな○○ちゃん。

「へえ-っ贅沢だね…」とお父さん。幼いから…、わからないだろう…ではなく、味覚が育っている大切なこの時期だからこそ、本物の味を味わう経験が大事ということを付け加えて話すと、「そうなんだ、なるほどね、ありがとうございます」と感心しておられたことを思い出します。

昨年に引き続き今年もサンマの不漁、価格の高騰もあり見通しが持てない状況ですが、手配ができればなんとか味合わせてあげたいと、担任も調理室も思っているようです。現段階では、知人の紹介で地元の漁師さんにお願い出来るかも知れないとの情報は入っているのですが、漁獲量が少ないことから手に入るかどうかわからないとの事でした。なんとか“秋の味覚を食べさせてあげたい”と模索しているところです。

「櫻」園長 若山 剛
(「櫻」つくしんぼ・そよかぜ 2022年10月号より抜粋)

“なぜ汗をかくのか…”

先日の幼児部の朝会で、お子様達にお話しをしました。

「暑いときに皮膚から出てくるものは?」と聞くと、「汗」と応えてくれました。

「そう、汗だよね。暑いといっぱい汗をかくよね。それではなんで汗はでるのでしょう?」ときくと、“あついから”“みずを飲むから”と応えは様々でした。

「汗はね、身体を冷やすために出てくるんだよ」と話すと、“そうなの!”と少し真剣な表情になり、『汗をかいたときにフーって息を吹きかけてごらん、少し冷たくなるでしょ…汗を乾かすときに身体の熱を取ってくれるんだって』と、発汗して体温を下げている身体の仕組みを話しました。

また、汗をかいて水分が外に出てしまうことから、水分をとること、食事をしっかりとることの必要性、身体を守るために午睡が必要なことも合わせて話をしました。

自分の身体の健康管理を意識すること、幼いから、わからないからと大人が管理するのではなく、子が承知して生活することの大切さを伝えたいのです。

0歳児、1歳児でも、「いたいね、お薬ぬろうね、ここにぬってもいい?」と聞いて、「うん」と頷いてから薬をぬれば泣かないでできることも、大人の都合でぬると大泣きして嫌がること、ご家庭でも経験があるのではないでしょうか。

経験や思考力や判断力が未熟ですから、大人の見守りが必要なことは当然です。ただ、大切な事は承知して行動すること、大人が指示支配をするのではなく、一緒に考えて行動する習慣を幼いうちから付けることが大切なのではないでしょうか。

登園後、園庭で遊んでいる子ども達を見ていると、自然と木陰を選んで遊んでいるようです。大人が言葉にしたわけでもないのに、木陰の方が涼しいと言うことを感覚的に感じて、行動、判断しているお子様たちです。すごいですね。

「櫻」園長 若山 剛
(「櫻」つくしんぼ・そよかぜ 2022年7月号より抜粋)

大人の都合の “安全第一” ?

先月は幼児部の遠足がありました。天候に恵まれいずれも予定通り実施することができ良い経験ができました。登園時間やおにぎりなどご協力に感謝致します。

昨今、遠足先で感じることですが、安全への配慮、自然保護の観点で来園者に注意を促す表示が多くなっているように思います。「球技は禁止」「対象は○歳以上」、「転落危険、のぼらない!」「危険、あそばない」「指はさみに注意」等々様々な表示がされています。(お父様、お母様が育った幼少期よりも過剰になっていると思いませんか?)

事故や怪我があると管理者責任を問われる、近隣からのクレームへの対応等、やむを得ない対応なのでしょう。事故防止の観点から、また必要に迫られて管理者が表示を勧めることは当然で、理解できます。

規模は違いますが保育園の園庭遊具でも一定の制限を皆で共有しています。

ただ気になるのは、安全第一という理由で、過剰に制限を加えることは、危険への想像や判断能力を養う機会を奪い、危険を回避する身のこなしや加減といった身体の調整力が育つ機会も奪ってしまうことにもつながるのではないかと言うことです。

危険への回避ができない乳幼児期は、見守りと制限が必要なことは言うまでもありませんが、スリルやバランス感覚を楽しむ姿はこの時期からあり、楽しみながら安全な身のこなしを養っているのです。

野山北公園で、3歳くらいの男の子が賢明にアスレチック遊具の棟に登ろうと挑戦しているとき、「大丈夫?、落っこちないでね」「降りる?」と下から子を見上げている若いお父さんの姿を見たことがあります。少し小柄だったので“落下したら…”と心配に思いながら見上げていたのでしょう。

不安ながらも“もう少し、もう少し”と腕と足の力を入れ、手のひらで手すりをしっかりとつかんではいますが、下を見る余裕はなく表情は今にも泣き出しそうでした。

その後の展開は敢えて記しませんが、お父様、お母様だったらどうしますか?

過保護過干渉と言いますが、過ぎる保護と過ぎる干渉が、様々な経験を通して育つ本来の個の育ちにどのような影響を与えるのかを、親、周囲の大人は子の育ちを見極めてさじ加減をしていかなければならないと思うのです。

園長 若山 剛
(「櫻」つくしんぼ・そよかぜ 2022年6月号より抜粋)

じっくり取り組む喜び

「ねえ見て…」と自分が書いた絵を見せにきてくれる子ども達、得意気な表情を浮かべています。“上手だね、よく見て描いたんだね、すごい!” “丁寧に色を塗ったね” “元気いっぱいだね” などと応えると少し照れながら満足して部屋に戻っていきます。

空き箱や廃材を使っての製作あそびでも、様々な工夫があるようです。

こんなふうに作りたい!、イメージは広がっているのでしょう。でも “うまくいかない” “どうしたらできるかな…” と試行錯誤していく中で、“もうやらない” “これでいいや” と気持ちを切り替える事もありますが、“どうしても思っているようにしたい” と強い意志を持って取り組む子もいます。

「ここに付けるには何で付けたらいいの?」大人に聞きながら試行錯誤しながらじっくりと取り組み、何とか自分の思う形に近づけようと頑張る姿、思うようにできた達成感と満足した表情は、子ども達の成長を感じると同時に3学期ならではの姿を感じます。

じっくり取り組む姿は造形遊びだけではありません。コマ回しでヒモをコマに巻き付けるのに一苦労です。力を入れると崩れてしまい上手く巻けません。加減をしながら何とか巻き付け深呼吸、いよいよ姿勢をとってコマを投げますが…、上手く回りません。

「惜しいね、もう少し」と大人に声を掛けられ、気を取り直してまたやり直し、根気強く何度も挑戦する子どもたち。けなげな姿に何とかしてあげたいと大人が手を添えて回わせた時は少し嬉しそうでしたが満足はできないようです。その後も一人で真剣に取り組む姿は、「回せるようになりたい!」と自分の力で成長のステップを登ろうとしているようで逞しさを感じます。いまも応援を続けています。

「櫻」園長 若山 剛

(「櫻」つくしんぼ・そよかぜ 2022年2月号より抜粋)