コラム

火遊びにならないように!

冬の季節が到来し、晴天の日が多くなった反面、空気の乾燥が気になる日も増えました。ニュースでは火災の報道もあり気になっています。

子ども達への安全教育の一環として、昨年度までは七夕飾りのお焚き上げ、秋には落ち葉を使っての焼き芋と安全を確保した上で、園庭で直火を子ども達に見せる機会があり、その時を利用して火の怖さ、炎の怖さを伝えて来ました。

実際にライターの火を見せ、「この小さな火はフッと息を掛けると消えるね」「でもこの小さな火を七夕飾りにつけると…」「ほら、大きな炎になり、吹いても消えない」「どんどんと火が大きくなるね」「これがもしお家の中で起きると火事になる」「だから、ライターやマッチ、チャッカマンなど火がつくものは触ってはいけないよ」「使うときには大人と一緒にね」というような話しをしていました。

ただ、昨今では煙や臭いが地域に迷惑を掛ける等、諸事情により七夕飾りのお焚き上げ、落ち葉を使っての焼き芋など煙が多く発生する催しは今年から控えています。

よって、数年来、実体験からの火の怖さを子ども達に伝えて来たことが、今年はできていないことが気になっておりました。

調理器具がIHのご家庭では、直火を使うことがないご家庭もあることでしょう。

敢えて乳幼児期に火の怖さを伝える必要があるかは、ご家庭でお考えがあると思いますが、怖さを知らないだけに、身近に火気を発生するライターやマッチなどの危険物があると興味本位で触ってしまう可能性もあります。

身近な環境整備をするのは大人の役割です。特に危険が伴うものには注意が必要です。「触っちゃだめ!」と叱る前に、触って欲しくないもの、火気に限らず危険な物は片付けておくか、怖さを言い聞かせ触らない約束をすることも良いでしょう。ファンヒーター、ガスコンロ等の火傷にも十分にお気を付け下さい。

最後になりましたが、今年も一年間、皆様にご協力を頂きありがとうございました。
来年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。

「櫻」園長 若山 剛
(「櫻」おひさま 2024年12月号より抜粋)

「わかってはいるけど…」

子様たちは遊戯や表現遊びなど、保育室の中はもちろん、園庭でも学年問わずに楽しんでいます。音楽がなるとすぐに踊りだしたり、その姿を見て身体を揺らして楽しむ乳児のお子様達、狼が出てくる表現あそびが始まるとクラスに関係なく逃げたり隠れたり・・・。とても微笑ましい光景を多く見かけます。

3歳児 H君

2階のテラスから塗り絵が一枚ヒラヒラと1階テラスに落ちてきました。その後、激しい泣き声が続き、どうしたのかな?と心配していると、しばらくして担任と一緒に塗り絵を拾いに降りてきました。玩具で遊んでいた時にお友達と喧嘩になり、気持ちを切り替え、塗り絵を始めたばかりに片付けの時間となってしまい、投げてしまったとのことでした。もちろんどこまで塗ったら終わりにするかなど、いつもは自分自身が決めて片付けているので、担任もその姿に驚き対応しても怒るばかりだったとのことでした。担任とのやり取りの後、ようやく気持ちを切り替え、取りにきたそうです。

いろいろな気持ちが重なり、自分でも自分の気持ちに折り合いがつけられなくなってしまったのでしょう。

日ごろ周囲の状況などを受け止め、しっかりしているお子様ほどこのような姿を現すことがあります。 “わかってはいるけど…’’ 小さなお子様が家族と離れる時に、泣きながらも担任に手を伸ばす姿があります。子どもなりに ‘‘わかってはいるけれど、自分の気持ちと葛藤している” そんな健気な姿は、お子様たちの心の成長に大きく繋がっていくのであろうと感じています。

副園長 若山 望
(「櫻」おひさま 2024年12月号から抜粋)

「ばら組のおにいさん・おねえさん、ありがとう!」

先日うさぎ組さんから「広い公園で遊びたい!」という希望があがり、ばら組のお子様たちに相談してみたところ、『ばら組さんが山王森公園までお散歩に連れて行ってあげよう!』ということになり一緒に出掛けました。

前日より「明日はうさぎ組さんと手をつないでお散歩にいくの!」と楽しみにしていたばら組のお子様たち。園庭で遊ぶ事とは勝手が違い、手をつないで公園まで連れていくという『使命感』にお子様たちは目を輝かせていました。

当日の朝も改めて出発前に集まり、どう連れて行ったら良いか作戦会議をしていました。手をつなぐ相手が決まりいざ出発…。優しく「だいじょうぶ?」と声を掛けたり、道路では白線の内側をうさぎ組さんが歩きやすいように速さを意識しながら歩いていました。中には、腰をかがめながら、手をつなぎ相手の目線に合わせて歩く様子もあり何とも微笑ましい光景がそれぞれにありました。

帰り道も公園でたくさん遊び、ちょっと疲れ気味のうさぎ組の事を考えながら年上としての責任感を持ち、優しく保育園まで連れて帰ってくれました。

無事に保育園に到着するとうさぎ組のお子様や担任たちから「ありがとう~」「たのしかった~」と言われ、とても満足そうなばら組のお子様たち…。その目は『達成感』『満足感』に満ち溢れていました。

当園では、異年齢で一緒に生活することにより、自然発生的に関わり合いが生まれ、小さい子への労わりや思いやる気持ち、年上の子への憧れなど、子ども同士の信頼感が一緒に育つような環境整備を行っております。特に年上のお子様たちは、優しく丁寧な関わりを通して、相手が嫌がる動作や言動を察知して無理強いをしない優しさも大きく芽生え育っていくことを大切にしています。

ばら組のお子様たちには今後もたくさん活躍していってもらいたいです。

「白樺」園長 品川 晃彦
(「白樺」もえぎ 2024年11月号より抜粋)

子ども達の声に耳を傾けると…

転んで擦り傷をつくってしまった時、どこかにぶつけて痛くした時、トゲを刺してしまった時など村上先生に処置をお願いしにくる子、エアコンのスイッチやお手紙などお部屋の先生から頼まれてお手伝いに来る子、「あのね…〇〇がなくなっちゃったの」「〇〇ちゃんと喧嘩した!」と相談に来る子などなど、保育園の事務所には毎日たくさんの子ども達が様々な用事で訪れます。

ばら組さんになると、意気揚々と自分の言葉で、用事を伝えてくることが出来るのですが、幼いお子様の中にはお部屋、園庭から事務所に来るまでの間に、先生からの伝言を忘れてしまったり、目的をもって向かったはずが途中で分からなくなってしまうこともあるようです。そんなとき、お子様たちは、自分の言葉に置き換えたり、知っている言葉を頭からしぼりだして、なんとか伝えようと一生懸命です。

先生達のお手伝いをしたい、お姉さんお兄ちゃん気分で自分が役に立っていることに満足感を得ているようにも見えます。

自分の思いが相手に伝わる喜びがあるからこそ言葉を発するのです。

わずかな生活経験の中で培ったことばや、身振り、手振りで一生懸命に思いだし考えながら伝えてきます。

日々忙しい大人時間の中で、「いま、いそがしいの…」と耳を傾けられなかったり、「はいはい…」と子どもの心を先読みして「〇〇なんでしょ!」と大人の考えを押しつけてしまうこと…あるのではないでしょうか。そんなとき、子ども達の心の中は満たされず奇声をあげたり、大人が困るような行動にでることもあります。

一人ひとり意志をもって精神生活を送っている子どもたちです。大好きなご両親に言葉や思いを受け止めてもらえることは何よりも嬉しいのです。

「櫻」園長 若山 剛
(「櫻」おひさま 2024年10月号より抜粋)

応答的なやり取りを重ねる

0歳児 A君

担任の動く姿を追い不安そうにお部屋から覗いています。「〇〇先生、行っちゃったね~ 待っているの?」と問いかけると、行った先を指さし頷きます。「じゃあ、望先生と遊んで待っている?」と声にすると、以前一 緒に遊んだことのある玩具を持ってきました。“1歳を過ぎ自由に歩くようになり、自分の意思を人に伝え、人の話を聞いて動きを変える” こんなに小さくても、言葉ではまだ伝えられなくても、しっかりと人としてのコミュニケーションが取れていたこの出来事に、改めて日頃の応答的なやり取りの大切さを実感しました。

小さなお子様たちも、日々の保育園での暮らしの中で、担任達と応答的なやり取りを重ねていくことで、人の話に耳を傾け、その子なりに出来る方法で応えてくれるようになります。

1歳児クラスの子ども達が大好きなドングリを拾い集めることを目的に、手をつないだ相手が時折動いてしまっても「おてて!おてて!」(あっそうだ!と言わんばかりの表情で戻る)など上手にやりとりしながら、無事に園外保育から帰ってきたことにも感動しました。

0 • 1歳の小さな子ども達にも心の動きがあり、その心に対して応答的にやり取りを童ねていくことを今後も大切に過ごしていきたいと思います。

副園長 若山 望
(「櫻」おひさま 2024年11月号から抜粋)

お友達との共感

4歳男児K君

お友達と手をつなぎ事務所にやってきました。いつもの笑顔がありません。手をつないでいるお友達はおでこに少し赤い傷がありました。状況を聞くと、片付けの際にK君が片付けようとした玩具がたまたまお友達のおでこに当たってしまったとのことでした。お友達も痛そうに涙目ではありましたが、少し我慢している表情でした。困ったK君の気持ちが伝わっていたようです。治療を受けるお友達の表情をのぞき込み、K君も涙目に・・・。心からの「ごめんね」「うん 」お互いの気持ちを思いやる姿に感動しました。

5歳児K君

「キラキラのテープください」一緒に教材室に選びに行きました。金色のテープを渡そうとしたのですが「僕はこれが好きだけど赤いのがいい!」とK君。「好きな色でなくていいの?赤でいいの?」と再度確認しましたが、赤いキラキラテープ(マイラップ)をもって保育室に戻りました。教材室から出る時に「〇〇ちゃん、きっと喜ぶな~~」と嬉しそうにスキップするような走り方で出ていきました。

お友達の喜ぶ姿をイメージし、自分の喜びにしているK君の姿に5歳児の協調する喜びを実感しました。運動会に向けての活動が多かった9月、しっかりとお友達との共感も積み重ねている子ども達です。

副園長 若山 望
(「櫻」おひさま 2024年10月号から抜粋)

子どもの感性

「あいす!あいす!・・・」キッチンカーの看板を見て叫び続ける2歳の孫。猛暑の中の外出だったので、食べたいのだろうと思い、祖母心で購入し「はい!」とスプーンでひとさじすくい口に運ぼうとした瞬間です、「やあだ~!やあだ~!わあああ~!」大泣きをして座り込み動きません。

自分ですくい食べたかったのかと思い見かねた祖父が再度購入。甘やかしているな~と反省しつつもその後を見守っていると、一向に口にしません。ずっと大切そうに両手で持ち歩きます。

アイスは溶ける、前には進まない 。もう限界というタイミングで父親と連携し、大好きな車に気持ちがそれた瞬間に祖父が預かりなんとか片付けました。

以前に5歳児くらいのお姉さんから砂場の容器で綺麗なカップアイスを作ってもらい喜び、大切に持ち歩いていたことを思い出しました。きっとその時の遊びを思い出したのでしょうか?

大人は「あいす!」と叫ばれると食べたいのであろうと勝手に想像しますが、“大切に持ち歩く姿”から考えると明らかに違いました。まだ生活経験の少ない乳幼児にとって、このようなことは他にもたくさんあるのではないかと実感しました。

私事ではありましたが、経験から想像して思い描き主張する子どもの思いと、大人の捉え方のズレを実感し、このコーナーで取り上げたく思いました。皆様が感じられたこともぜひお知らせください。

副園長 若山 望
(「櫻」おひさま 2024年9月号から抜粋)

少しの工夫で完食に

月末に翌月の献立表をお配りしています。年度当初にお渡ししてある食育計画にもある通り、まごわやさしい(豆類・種実類・海藻類・野菜類・魚介類・きのこ類・芋類)の旬の食材をバランス良く取りいれた内容になっています。

翌月の献立を立案する際には、「櫻」と「白樺」の両保育園の栄養士が集まって会議をしています。子ども達が喜ぶメニューや味付け、栄養価も考慮して検討します。

一ヶ月で2回同じメニューがでるようになっていますが、“食わず嫌い”にならないために敢えて同じメニューを出しているのです。また毎月、中旬頃に前半の子ども達の食べ具合を各担任から栄養士、調理師が会議で聞き取り、味付け、食材の切り方、食品の組み合わせなど2回目の調理に役立てるようにしています。

先日、その時に話題になったことですが、6月6日のブロッコリーとカニカマの餡かけメニューの食べが悪いことが話題になりました。職員からは好評だったメニューですが、子ども達にとっては口に合わなかったのか残食が目立ったというのです。

5歳児の担任から「餡を子ども達の目の前で掛けて見せてから出してみてはどうか」の提案があり、さっそく2回目の20日に実践してみました。

するとどうでしょう、全員が「おいしい、おいしい」とおかわりをするほどで、残食はなかったと嬉しい報告がありました。これに限らず、和え物を目の前で和えて見せることでも関心を持って食べてくれるようになることも多々ある事例です。

栄養計算をして食事を提供していても、子ども達が食べてくれなければ意味がありません。畑やプランターで野菜を育てているのも、子ども達の食材への関心を高めるためのねらいがあります。調理室と保育に携わる各担任が連携して、少しの工夫の積み重ねを大切に食育を進めていくことが大事と考えています。

野菜嫌いの子も不思議と自分たちで栽培し育てた野菜は「おいしい」と食べることができ、そのことがきっかけで食べられるようになることも珍しくありません。

“嫌いだから”と決めつけず、ご家庭でも一工夫してみてはいかがでしょうか。

「櫻」園長 若山 剛
(「櫻」おひさま 2024年7月号より抜粋)

自分なりに判断する

最近のばら組さん、頼もしい姿がちらほらとみられるようになってきました。

「お片付けしてきてくれる?」とお手伝いを頼まれた白樺5歳児T君R君

砂場のバケツを持ちサッシの前でちらちらと事務所を覗いては2人でなにやら話しています。困っていそうな表情も感じられたので、「どうしたの?」と近寄りました。「だってあけていいのかわからない…」いつもは開いていることが多い園庭への出口のサッシが閉まっていたのです。「このバケツをもどしにいくんだけど…」「えらいね。勝手に開けてはいけないのかな?って考えていたのね。片付けが済むまで先生がここにいればいいかな?」と話すと「うん!」と張り切って片付けさっさと戻り「ありがとう!」と2階に上がっていきました。

「〇〇君呼んできてくれる?」と3歳児の入室を頼まれた櫻5歳児Yちゃん

三輪車に乗りなかなか担任の呼びかけに気が付かない3歳児、その様子を気にしながら見ていたYちゃん。
3歳の担任もその姿に気が付きYちゃんにお願いしました。「まだのりたいの?せんせいよんでるけど…」「もうちょっとのりたいの?」と語りかけます。お姉ちゃんに気持ちを受け止めてもらえたからでしょうか、その後三輪車から降りてYちゃんと手をつなぎ2階へ上がっていきました。

大人から頼まれた内容をそのまま行うのではなく、周囲の状況や相手の気持ちを考え、自分なりに判断をしている姿に関心しました。”子どもの心”とはいえ、大人顔負けのエピソードですね。

副園長 若山 望
(「櫻」おひさま 2024年7月号から抜粋)

健やかな成長の基盤

新年度のスタートから2か月が経ちました。4月当初の不安そうな表情や小さな子供の泣き声、保育室に慣れずテラスや園庭で食事をとったり、寝付いていてもすぐに起きてしまうなどの姿は一切なくなりました。どのお子様たちも今年度の保育園の生活を受け入れ、自己発揮し始めている姿に嬉しく感じます。

2歳児Rくん

4月から入園したR君。保育士達が用意した遊びが本人の関心が高いものであったこともあり、すぐに遊び始めていましたが、食事や午睡になると不安が高まり泣いてしまったり、あまり食べられない眠れない…という日々が続いていました。5月中旬あたりからでしょうか、そのような姿はなくなり笑顔で過ごし、好きな物をしっかり食べたり、存分に身体を動かした日にはぐっすりと眠るようになってきました。クラスの子ども達の遊びに興味をもち一緒に参加してみたり、担任やR君との関りが多い大人に自ら近寄り、R君なりの言葉を自ら発するようになってきました。これからの成長が楽しみです。

R君に限らず、新しい生活を受け入れ保育園での生活に安心感を抱いてくれるようになると、お子様たちはみんなよく遊び、よく食べ、よく眠る(りす組~さくら組)のようになります。中には言葉の発達を心配していたお子様が言葉を使うようになったり、やり取りが難しかったお子様が目線を合わせて聞いてくれたり、その子なりの表現で気持ちを伝えてくれるようになるなど、どんなに小さくても”一人の人”らしい姿を見せてくれます。お子様の健やかな成長には”安心して生活を送ること”の基盤が一番ですね!

副園長 若山 望
(「櫻」おひさま 2024年6月号から抜粋)