社会の中、人の中で生きていくための学び

秋は一年間でも最も食欲旺盛な季節です。10月は運動遊びの余韻を楽しみながら、園外にも多く出かけ、身体を存分に動かして遊びます。

歩く距離も、徐々にのばしていきます。歩くこと、走ることは身体運動の基本です。疲れた、足が痛い、座りたい、水が飲みたいとすぐに訴えてくる子どもたちが気になる昨今です。ヘトヘトになるまで走り回る、動き回って遊ぶ機会を敢えて作ることも成長期である子ども達には大切な経験だと考えています。

また、2歳と幼児クラスの子ども達は秋の遠足に出かけます。クラス毎にねらいを持ち計画を立てていますが、お子様たちにとっては貴重な経験の機会となります。保育園と家庭の行き来の中で過ごしているお子様たちも多いのではないでしょうか。

社会のルールやマナーを学ぶ、周囲への気遣いをする、持ち物を自分で管理する、集団で行動するなど、出かける場所や遠足の内容によって経験することは様々です。社会とのつながりの中で起きる様々な出来事、体験が貴重な学びとなります。

バスの乗るとき降りるときに運転手さんに挨拶をする、公園の入口で挨拶をすること、クラスの皆や他のお客さんに迷惑にならないようにマナーを守って行動することなど、遠足では多くの事を実体験し、学びにつなげていきます。

ご家庭でお出かけになるときも同様です。買い物も、“お店に並んでいる物をお金で買うことで持ち帰っても良いこと”を具体的な体験から学ぶチャンスです。キャッシュレスの時代とは言いますが、お財布からお金を支払う様子を見せることも大切です。

また入口で自分の後ろから入って来る人を気遣ってドアを押さえてあげてほめてもらったり、店内で、はしゃぎすぎて見知らぬおじさんに叱られることも子ども達にとっては良い経験です。「すみません迷惑をかけて」と子どもと一緒に謝れますか?

「うちの子になに言うんですか!」と逆ギレしてしまう親御さんもまれにいると聞いたこともありますが、皆様はどのように思われるでしょうか。社会の中、人の中で生きていく子ども達です。社会の中で、人との中で得られる学びの機会を大切にしたいと考えています。

「櫻」園長 若山 剛
(「櫻」おひさま 2023年10月号より抜粋)