葛藤を乗り越える

お子様達は安心して過ごす家庭から離れ、保育園という初めての社会で、自分とは違う存在(お友達)両親や祖父母とは違う大人(保育士等職員)と過ごすことになります。不安であることはもとより、様々な葛藤と戦っていることを日々感じます。そんなお子様達の葛藤をいくつかお伝えしたいと思います。

1歳児Kちゃん

「お友達を噛んでしまいました…」担任につれられて噛まれて泣きながら治療を受けるMちゃんの隣でうつむくKちゃん。「状況は?」と担任に聞いてみると、どうやらMちゃんがお友達の使っていた玩具を持って行ってしまった姿を見て「ダメだよ!」という気持ちでKちゃんがMちゃんを噛んでしまったようでした。1~2歳児の保育室の中ではこのように言葉にして伝えることがまだ難しく、自分で出来る方法をとってしまってから、心の中で葛藤していることはたくさんあるのでしょうね。

5歳児Y君

いつも元気で天真爛漫なY君。遊びも発想豊かで次々と展開を考え、いつでも遊びの中心となっています。担任のお話を聞いていても、聞いた言葉からふと気付いたことを声にしてしまうので、時折「今は聞いていてね」と担任から言われ「あっそうだった」と慌てて口に手を当てることもあります。

そんなY君、先の物を取ろうとしてついついお友達を押してしまったり、順番を待ちながら身体を揺らしていた時にお友達にあたってしまったり…、ある日担任が「こういう時どうしたらいいのかな?」「Y君もわざとしているわけではないもんね」と聞くと「うん…」困った表情をした後で、「せんせい、ストップって言って!」と自ら頼んでいました。してしまった事にはいつでも素直に謝るY君、その内面ではそんな自分ではどうにもできない葛藤があったんですね。

子ども達の世界ではこのような心の葛藤がたくさんあるのでしょう。子ども同士で喧嘩になったり、大人たちに受け止めてもらいながら相手の身になって考えてみたりしながら、徐々に自分の気持ちに折り合いをつけていくことを学んでいくのでしょうね。

副園長 若山 望
(「櫻」つくしんぼ・そよかぜ 2022年7月号より抜粋)