自分なりに判断する

最近のばら組さん、頼もしい姿がちらほらとみられるようになってきました。

「お片付けしてきてくれる?」とお手伝いを頼まれた白樺5歳児T君R君

砂場のバケツを持ちサッシの前でちらちらと事務所を覗いては2人でなにやら話しています。困っていそうな表情も感じられたので、「どうしたの?」と近寄りました。「だってあけていいのかわからない…」いつもは開いていることが多い園庭への出口のサッシが閉まっていたのです。「このバケツをもどしにいくんだけど…」「えらいね。勝手に開けてはいけないのかな?って考えていたのね。片付けが済むまで先生がここにいればいいかな?」と話すと「うん!」と張り切って片付けさっさと戻り「ありがとう!」と2階に上がっていきました。

「〇〇君呼んできてくれる?」と3歳児の入室を頼まれた櫻5歳児Yちゃん

三輪車に乗りなかなか担任の呼びかけに気が付かない3歳児、その様子を気にしながら見ていたYちゃん。
3歳の担任もその姿に気が付きYちゃんにお願いしました。「まだのりたいの?せんせいよんでるけど…」「もうちょっとのりたいの?」と語りかけます。お姉ちゃんに気持ちを受け止めてもらえたからでしょうか、その後三輪車から降りてYちゃんと手をつなぎ2階へ上がっていきました。

大人から頼まれた内容をそのまま行うのではなく、周囲の状況や相手の気持ちを考え、自分なりに判断をしている姿に関心しました。”子どもの心”とはいえ、大人顔負けのエピソードですね。

副園長 若山 望
(「櫻」おひさま 2024年7月号から抜粋)

健やかな成長の基盤

新年度のスタートから2か月が経ちました。4月当初の不安そうな表情や小さな子供の泣き声、保育室に慣れずテラスや園庭で食事をとったり、寝付いていてもすぐに起きてしまうなどの姿は一切なくなりました。どのお子様たちも今年度の保育園の生活を受け入れ、自己発揮し始めている姿に嬉しく感じます。

2歳児Rくん

4月から入園したR君。保育士達が用意した遊びが本人の関心が高いものであったこともあり、すぐに遊び始めていましたが、食事や午睡になると不安が高まり泣いてしまったり、あまり食べられない眠れない…という日々が続いていました。5月中旬あたりからでしょうか、そのような姿はなくなり笑顔で過ごし、好きな物をしっかり食べたり、存分に身体を動かした日にはぐっすりと眠るようになってきました。クラスの子ども達の遊びに興味をもち一緒に参加してみたり、担任やR君との関りが多い大人に自ら近寄り、R君なりの言葉を自ら発するようになってきました。これからの成長が楽しみです。

R君に限らず、新しい生活を受け入れ保育園での生活に安心感を抱いてくれるようになると、お子様たちはみんなよく遊び、よく食べ、よく眠る(りす組~さくら組)のようになります。中には言葉の発達を心配していたお子様が言葉を使うようになったり、やり取りが難しかったお子様が目線を合わせて聞いてくれたり、その子なりの表現で気持ちを伝えてくれるようになるなど、どんなに小さくても”一人の人”らしい姿を見せてくれます。お子様の健やかな成長には”安心して生活を送ること”の基盤が一番ですね!

副園長 若山 望
(「櫻」おひさま 2024年6月号から抜粋)

コラム「子どもの心」について

保育園で生活をするお子様達は、自分の思いを上手に言葉で伝えることがまだまだ難しい年齢です。0歳児の赤ちゃんだけでなく、言葉を使うようになった幼児部のお子様でも、自分の気持ちを上手に言葉で伝えたり、相手に状況を説明するなど、言葉を使ってコミュニケーションを取りながら生活することは難しいものです。

子どもの気持ちがよく分からずに大人が戸惑い悩んでしまったり、また、子ども同士がうまく思いを伝えられずに、お友達と喧嘩になってしまうのも当然ですよね。

子どもの思いを理解し受け止め共感したり、時には気持ちに寄り添いながら言い聞かせるなど、“子どもの心”を感じながら子どもの身になって考えていく生活は、子育てのコツとも言えます。

そしてたくさん共感してもらえた心の基盤が、今後の心の成長の糧となっていくようです。

1歳児R君

たくさんの新入園児を迎えたこあら組さん。りす組の時から保育園で生活をしているお子様たちは、泣いてしまう新入園児のお子様に関わる担任たちの姿を見て状況を感じるのか、ちょっとしたことでは大人を求めることなく、お子様同士で遊び始めます。そんなある日コンビカーに乗って遊んでいたR君が寂しそうにコンビカーに乗り止まっていたお友達に気づき、腕を伸ばして必死に呼びます。「おっでー、おっでー」まるでお兄ち ゃんのような仕草に、お友達も表情が一変、笑顔でR君についていきました。

お子様達の仕草や目線・表情・会話・行動などから感じる“子どもの心”をお伝えしたり、ご家庭で感じられた姿もお知らせ頂きながら、皆様と一緒に“子どもの心’’の理解を深めていきたいと思います。

副園長 若山 望
(「櫻」おひさま 2024年5月号から抜粋)

目には見えない心の成長を感じて

3学期に入り、0歳児クラスのお子様も、一 時保育で定期的に利用しているお子様も含めてお友達への意識も芽生え、登園してくるお友達に「〇〇ちゃん、おはよう!」と挨拶をしに来てくれたかのように近寄り、お顔を近づけます。また、感染症が治り久しぶりに登園してきたお友達を出迎える笑顔は、まるで「ひさしぶり~ !まっていたよ!」と言わんばかりの表情です!

4歳児Kちゃん

手の指のささくれが引っ掛かり気になって仕方がなく、事務所にやってきました。
「あ~これは気になるよね~」と言いながら爪切りを出した時です。
「あのさ、前切ったね。」
「?」私ははじめいつの時のことを言っているのかわからずにいました。
「あそこで、座って!」と説明が続きます。
「あ~、足の爪切った時?」と2年以上も前のことを思い出し聞いてみました。嬉しそうに頷きます。当時爪を切ることが怖くて嫌がり、ご家庭でも戸惑い相談を受けていました。その不安と闘いながら両足1 0本きれいに切らせてくれた時のことを私も思い出しました。日々の暮らしの中での“小さな挑戦 !” しっかりと覚えているんですね !

1歳児Yくん

近頃やっと立てるようになったお友達のRちゃんがつかまった先はY君の手です。どうするのかな?と、半分ハラハラしながらも見守る担任、Y君はつかまるRちゃんの動きに合わせてゆっくりと前に進んでいたそうです。驚きと喜びの感動を私に伝えてくれました。

保育園での生活は、様々な子ども(言葉の発達・運動発達みな様々です)がいて日々一 緒に過ごしています。ドキドキしたり、うまく話せず戸惑ったり泣きさけんだり、じっと動かず見ていたり ・ ・・。そんな姿も保育士達の気持ちを受け止める関わりや、子ども達同士の自然な受け入れ合いの中で、確実に成長の芽を膨らませていく、目には見えない心の成長がたくさん感じられる今日この頃です!

副園長 若山 望
(「櫻」おひさま 2024年2月号から抜粋)

年末年始のお休み明け

新年、あけましておめでとうございます。

“日本の社会が人々に温かく、一人ひとりが安心して心穏やかに過ごせる暮らしを願う”
今年も祈願してきました。

今年は、新年早々から災害や事故の報道に驚き、現地の方々のお気持ちを察し、心痛めるスタートとなりました。一刻も早く平穏を取り戻せるよう願うばかりです。

毎年のことですがこの年末年始のお休み明けは、お子様たちの成長を実感します。1週間(長いお子様は2週間以上)保育園をお休みし、身体はもちろんのこと心の成長も大きく逞しさを感じます。

薬をつけることに不安が高い5歳児Mちゃん、はじめは大泣きをしながら〇〇で避んでいたらこうなっちゃった~ !」と必死に訴えます。「そっかあ、痛かったね。見せてね」と言うと指先のすりむき傷を差し出しながら「私、こういうの苦手なの !痛いの嫌なの!」と語り始め「そうだよね!知ってるよ!でもこうして見せてくれるし、薬の覚悟もできていてすごいね!」と会話をしているうちに涙は止まり、手当てが終わるまで落ち着いて出来ました。

気持ちを受け止めてもらえた安心感、“苦手だけどちょっと頑張ってみよう” と思えるようになるまでの過去の経験、日々の積み直ねの中で確実に成長していくお子様たちです。

副園長 若山 望
(「櫻」おひさま 2024年1月号から抜粋)

学年クラス関係なく

今年の10月は天候も良く、秋の自然に親しみながら園外保育や遠足など、存分に楽しめたようです。日頃の園庭での遊びも、学年ごとに一段とのびのび意欲的に楽しむ姿が多くなりました。そんな中、きょうだい関係なく小さなクラスの子ども達と幼児の子ども達が微笑ましく遊ぶ姿も増えてきました。

3歳児S君

1歳児クラスのYちゃんと手をつなぎお砂場に向かうS君。大きなスコップを持ちどうするのかな?とみているとそのまま手をつなぎながらすくって山作り、扱いにくそうにしながらも離しません。そこへ他の幼児がやってきて参加、S君はスコップを手放しYちゃんと手をつないだままわんばく砦(幼児用)に向かいます。暫く立っていましたがYちゃんがまだ登れないことに気づいたのでしょう。何やら話しかけ一人で登 っていきました。ひとり立ちすくむYちゃん、どうするのかな?とみているとじっと待っています。滑り台をおり駆け寄るS君でしたが、ほんのわずかな差で、幼児たちが近くを走り回る姿に危険を感じた1歳児の担任がYちゃんを誘い砂場に戻っていきました。二人の思いは分かりませんが、とても温かな光景でした。

3歳児N君

ちびっこランド(乳児用)の中、きょうだいでない1歳児Rちゃんと一緒にいたN君。揺れる梯子に足をかけるRちゃんを見守るように傍にいます。私が近寄ると「だってY君(Rちゃんの兄)まだ着替えているから...」とのこと。後から担任に話すと3人はとても仲良しで、一緒によく遊んでいるようでした。

日常を保育園という生活環境の中で過ごすお子様達。学年クラス関係なく好きなお友達、お気に入りの子を見つけ親しみをもち遊ぶ姿に、大人の介入を必要としない子ども同士の時間があり、会話がなくとも信頼感を得て一緒に過ごす関係性に感動しました。子ども達の時間、温かな感性、素敵ですね。

副園長 若山 望
(「櫻」おひさま 2023年11月号より抜粋)

”優しい心”を生まれ持っている

1歳児T君

0 • 1歳児の子ども達が園庭でのびのびと思いのままに楽しんでいた時のことです。少し離れたところで遊んでいた0歳児のHちゃんが、危ない所に向かいそうになり0歳児の担任と私が咄嵯にHちゃんに駆け寄りました。0歳児の担任の側で遊んでいたO君、急に担任が離れ不安そうに「フンフンフン ・ ・ ・」そこへ1歳児のT君、自分が手に持っていたバケツとシャベルをO君に差し出し、シャベルを回して見せたり中の葉っばをすくってみせたり・ ・ ・、O君もじっとT 君の手先を見つめていました。ときどきO君の表情をのぞき込んではやってみせる、まるであやしてくれているような姿に感動しました。

まだ年齢的にも小さな乳児部の子ども達でもこのように相手の姿から何かを感じとり、思いやりを示す光景をよく目にします。0歳児の保育室でも泣いている子に近寄り頭を撫でたり、玩具を渡そうとしたり、子ども達は本当に“優しい心’’を生まれ持っているのかもしれませんね。

副園長 若山 望
(「櫻」おひさま 2023年10月号より抜粋)

子どもの発想力を育むもの

お休み明けのお子様達から「プールいったよ!」「おじいちゃんおばあちゃんの所にいったの!」「水族館でねマンボウみたよ!こ~んな大きいの!」「私は〇〇ランドに5人でいったよ!」など、一人のお子様がお話を始めると次々と目をキラキラさせて報告が始まります。やはりご家族と過ごす時間はお子様達にとってかけがえのない楽しい時間であると共に、豊かな経験が出来る貴重な時間にもなることを改めて感じています。

2歳児4~5人

「なすとピーマンがとれました!」この夏何回目でしょうか?収穫したその日に塩もみにしたり、炒めたりと様々な方法で口にしてきたうさぎ組さん。「今度はどうやって食べようか?どうやって食べる?」と声にすると、「こうやって!」と手を口元にもっていき食べる動作を教えてくれるY君、「確かにそうだよね!」と微笑ましくお話していくと、次は「こうやって!」と包丁で切る動作を教えてくれたN君、「そうね切ってね!切ったらどうする?」「・・・・・」その他2~3人の子ども達が思い思いに頭の中では描いていそうですが言葉にはなりません。2歳児らしいやりとりと一生懸命に考える姿に成長を感じました。

5歳児Hちゃん

3歳児R君の治療の付き添いを頼まれ事務所に来ました。治療を終えて椅子から降りようとするR君に「手はここだよ!」「ここもってごらん」と自分で降りられるように教えてあげています。しっかりと足が床に着くまで見届け「でった~!」と喜ぶR君に「できたね」と共感、その後保育室に走って戻るR君の後ろからスピードを合わせて見守りながら戻ってくれました。まるで保育者のようです!

子ども達は日々の経験、人との関わりの中から自らの発想に繋がっていきます。豊かな経験、思いやりのある日常的なかかわりの大切さを改めて実感したお子様達の姿でした。

副園長 若山 望
(「櫻」おひさま 2023年9月号より抜粋)

「叱られるのかと思ったのかな?」

4歳児 Y君

「タンスにぶつけちゃったの ・ ・ ・」ひっかき傷のような跡と血も少しにじんでいたので、保育室内の確認をしようと「そっか、どこでぶつけたのか教えてくれる?危ないものね」と手を繋いで2階に行こうとしました。急に立ち止まり「かいちゃったんだ~」と照れながら教えてくれました。「な~んだ、そっか安心したよ。お部屋の棚が危ないのかと思って心配したよ」「かいちゃって血が出たから叱られるのかと思ったのかな?」「うん 」「痒い時 とぶつけた時 とはお薬も違うから、本当のことをお話してくれてよかった!」と伝えると治療後にニコニコ笑顔で保育室に戻っていきました。

Y君は小さな時から虫刺され後が腫れやすかったり、ひどくなると伝染性膿痴疹(とびひ)の心配もしていたので、今までの経験から〝きっとʻʻ掻いてしまうと叱られる〞と思ってしまったのかもしれません。その気持ちを受け止めつつ、正しく伝えることの大切さを感じて欲しいと思い関わりました。

4·5歳児にもなるとこのような会話は日常茶飯事です。大人からみると〝ʻʻ嘘をついている〞と感じてしまいがちですが、子どもには子どもなりに善悪の判断も考えるようになり、今までの経験から自己を守るかのように話しているのかもしれません。言葉の使い方も未熟な年齢なので、会話をしながら真意を読み取り、今後のコミュニケーションに繋がる関わりを大切に重ねていきたいと思います。

副園長 若山 望
(「櫻」おひさま 2023年7月号より抜粋)

子どもの心に共感しつつ伝える

お子様達はどのクラスもようやく今年度の生活環境に慣れ、のびのびと遊んだり探索や発見に目をキラキラとさせて楽しむ姿が多くなりました。先日の懇談会では、ご家庭での育児を伺う機会にふれ、改めて保育園とご家庭が日常の些細なことでも共有し合う事の大切さを感じました。

2歳児M君連絡帳の内容より

家族でよく川に行き、川の中に石を投げて遊んでいるとのこと。ある日買い物に出かけた時のエピソードを知らせてくれました。同じような石を見つけ投げてしまったM君。当然、お父さんに叱られてしまい、泣きながらお母さんの所に駆け寄ったそうです。お母さんに川でいつも投げて遊んでいることに共感してもらいつつも、お店の中は危ないから投げてはいけないことを諭されお父さんに謝りにいったそうです。
子どもの心にはしっかりと共感し、公共の場でのマナーを育てられている姿に感動しました。

5歳児Mちゃん

つい最近まで治療の度に大泣き、患部を手で覆い見せてくれず、大したことが無さそうな時には流水でサッと洗うだけにしたり、なんとかミツロウだけ塗らせてくれて終えることが多かったMちゃん。5歳児になり「私は痛いのが苦手なの!」「だからやらない!」目に涙をためながらもしっかりと言葉で伝えます。
トゲが刺さっていたので「そっか、痛いのは嫌だよね。みんな苦手だと思うよ。」と共感しながら一緒に考えていけるように話してみました。刺さったままの痛さや一瞬の我慢、しばらく絆創膏で覆い皮を柔らかくしてから抜くと痛みが和らぐことなどなど。Mちゃんの答えは絆創膏でした。翌日には「お家でとれたよ」と笑顔で報告に来てくれました。

人はみなそれぞれ感性があり、その感性は他人が全く同じに感じることは不可能です。たとえ小さな子ども達でも、その子なりの感じ方や経験値から予測する感性はそれぞれです。いつでもどんなふうに感じているのかな?と考えてみることは心を知る上でとても大切なことですね。

副園長 若山 望
(「櫻」おひさま 2023年6月号より抜粋)