転んで擦り傷をつくってしまった時、どこかにぶつけて痛くした時、トゲを刺してしまった時など村上先生に処置をお願いしにくる子、エアコンのスイッチやお手紙などお部屋の先生から頼まれてお手伝いに来る子、「あのね…〇〇がなくなっちゃったの」「〇〇ちゃんと喧嘩した!」と相談に来る子などなど、保育園の事務所には毎日たくさんの子ども達が様々な用事で訪れます。
ばら組さんになると、意気揚々と自分の言葉で、用事を伝えてくることが出来るのですが、幼いお子様の中にはお部屋、園庭から事務所に来るまでの間に、先生からの伝言を忘れてしまったり、目的をもって向かったはずが途中で分からなくなってしまうこともあるようです。そんなとき、お子様たちは、自分の言葉に置き換えたり、知っている言葉を頭からしぼりだして、なんとか伝えようと一生懸命です。
先生達のお手伝いをしたい、お姉さんお兄ちゃん気分で自分が役に立っていることに満足感を得ているようにも見えます。
自分の思いが相手に伝わる喜びがあるからこそ言葉を発するのです。
わずかな生活経験の中で培ったことばや、身振り、手振りで一生懸命に思いだし考えながら伝えてきます。
日々忙しい大人時間の中で、「いま、いそがしいの…」と耳を傾けられなかったり、「はいはい…」と子どもの心を先読みして「〇〇なんでしょ!」と大人の考えを押しつけてしまうこと…あるのではないでしょうか。そんなとき、子ども達の心の中は満たされず奇声をあげたり、大人が困るような行動にでることもあります。
一人ひとり意志をもって精神生活を送っている子どもたちです。大好きなご両親に言葉や思いを受け止めてもらえることは何よりも嬉しいのです。
「櫻」園長 若山 剛
(「櫻」おひさま 2024年10月号より抜粋)