「叱られるのかと思ったのかな?」

4歳児 Y君

「タンスにぶつけちゃったの ・ ・ ・」ひっかき傷のような跡と血も少しにじんでいたので、保育室内の確認をしようと「そっか、どこでぶつけたのか教えてくれる?危ないものね」と手を繋いで2階に行こうとしました。急に立ち止まり「かいちゃったんだ~」と照れながら教えてくれました。「な~んだ、そっか安心したよ。お部屋の棚が危ないのかと思って心配したよ」「かいちゃって血が出たから叱られるのかと思ったのかな?」「うん 」「痒い時 とぶつけた時 とはお薬も違うから、本当のことをお話してくれてよかった!」と伝えると治療後にニコニコ笑顔で保育室に戻っていきました。

Y君は小さな時から虫刺され後が腫れやすかったり、ひどくなると伝染性膿痴疹(とびひ)の心配もしていたので、今までの経験から〝きっとʻʻ掻いてしまうと叱られる〞と思ってしまったのかもしれません。その気持ちを受け止めつつ、正しく伝えることの大切さを感じて欲しいと思い関わりました。

4·5歳児にもなるとこのような会話は日常茶飯事です。大人からみると〝ʻʻ嘘をついている〞と感じてしまいがちですが、子どもには子どもなりに善悪の判断も考えるようになり、今までの経験から自己を守るかのように話しているのかもしれません。言葉の使い方も未熟な年齢なので、会話をしながら真意を読み取り、今後のコミュニケーションに繋がる関わりを大切に重ねていきたいと思います。

副園長 若山 望
(「櫻」おひさま 2023年7月号より抜粋)