「部屋のダンボールつけてください」

 私がいる部屋の一角には、折り紙や画用紙、ガムテープやビニールテープ、紙テープ等日常的に子ども達の遊びの中で使う教材が置かれているコーナーがあります。

「セロテープを1個下さい」「ガムテープを2個ください」「赤い折り紙をください」と子ども達からの注文は様々です。「はい、どうぞ」と手渡すと、「ありがとうございました」と会釈し、部屋を出て行くときには「失礼しました」と言って出て行くばら組さんもいます。「あのね、折り紙ね、ほしいの…」と自分の思いをつたえようと精一杯の表現で訴えてくる子もいます。「そう、何色の折り紙?」と聞きながら、折り紙が置かれている棚の所に連れていくと、「えっと、赤と、青と、緑と、黒と、黄色」と棚の折り紙を見ながら伝えてきます。「わかった、何枚ずつかな?」「ぜんぶ一個ずつ」「そうか全部一枚ずつね」と手渡すとありがとうございました、とお部屋に戻っていくひまわり組さん。

日本語には、色、数え方にも様々な呼称があります。生活の中で必要な言葉遣いを経験から覚えていく子ども達です。特に幼児期には、挨拶も含め、様々な場面で、適材適所で大人が正しい言葉遣いの手本を示し伝えていくことが必要なようです。

私のいる部屋には館内のエアコンを管理するスイッチもあるため「きりんの部屋の暖房をつけてください」「ホールの暖房を付けてください」、作品展でダンボールを扱うこの時期には「しかの部屋のダンボールつけてください」とお手伝いで降りてくるさくら組さんの姿もあり、「はいわかりました、だんぼうね、お部屋を暖かくするのね」と言葉を返すと「そっか、だんぼうだった」と笑いながら言い直し、スイッチを入れたことを確認すると「ありがとうございました」とお辞儀も上手にできます。「お兄ちゃんになったな」と誉めると嬉しそうにしてお部屋に戻っていきます。

耳から聞いた音の情報で言葉を覚えるこの時期には、こうした日常の会話、やり取りから言葉を覚えていきます。幼稚語や発音が気になる場合には、穏やかに、ゆっくり、はっきりと口の動きを見せて伝えて行くことも大切です。

「櫻」園長 若山 剛
(「櫻」おひさま 2026年2月号より抜粋)