先日、調理室から“今年はサンマを献立に入れられますか?”と相談がありました。“魚屋さんからは、今年は型が小さく一尾700円程すると言われています”とのこと。“秋の味覚だから味合わせてあげたいけどね・・・”と話しました。
随分前の事です。夕方のお迎えの際、階段下に置いてある、お子様たちが昼食と午後食で食べたものを展示するケースの前で、子ども(2歳)とお父様が一緒に、「きょうはなに食べたんだ?」と立ち寄っていました。「おっ、サンマか旨そうだな!」と。
ちょうど近くを通りかかった私は「お帰りなさい、今日はサンマを食べたんだよね、美味しかったね」と声を掛けました。「良いもの食べてますね~」とお父さん。
「時期ですからね、あぶらものって美味しかったですよ」「骨は自分でとるんですか?」「幼児は自分でよけて食べますが、○○ちゃんのクラスは大人がとってあげてるかな」「へえーそうなんだ」「それでこの緑の切ってあるやつは?」と聞くので、「これはカボスですよ」と伝えると、「えっ!こんなに小さいうちからサンマにカボスをチュッと絞って食べてるんですか?」と驚いて聞かれるので、「そうですよ、美味しかったよね○○ちゃん」と応えると、「うん、おいしかった」と嬉しそうな○○ちゃん。
「へえ-っ贅沢だね…」とお父さん。幼いから…、わからないだろう…ではなく、味覚が育っている大切なこの時期だからこそ、本物の味を味わう経験が大事ということを付け加えて話すと、「そうなんだ、なるほどね、ありがとうございます」と感心しておられたことを思い出します。
昨年に引き続き今年もサンマの不漁、価格の高騰もあり見通しが持てない状況ですが、手配ができればなんとか味合わせてあげたいと、担任も調理室も思っているようです。現段階では、知人の紹介で地元の漁師さんにお願い出来るかも知れないとの情報は入っているのですが、漁獲量が少ないことから手に入るかどうかわからないとの事でした。なんとか“秋の味覚を食べさせてあげたい”と模索しているところです。
「櫻」園長 若山 剛
(「櫻」つくしんぼ・そよかぜ 2022年10月号より抜粋)