テープと糊

お迎えの時に嬉しそうにお家の方に自分の作ったものを見せるお子様達。4・5歳児クラスを中心に12月初旬ごろから、自分で作ったもので遊ぶことを楽しむお子様が増えています。担任もお子様一人一人の興味関心に合った素材(新聞紙や空き箱、画用紙など紙製のものを中心に)を用意し、ハサミを上手に使い思い思い自由な工作を楽しんでいます。

主活動の製作遊びでは、接着時の素材は糊(でんぷん糊)を使っています。すぐに貼ることが出来るセロテープではなく、糊やボンドなどを使って作る事もあります。しかし、セロテープの便利さを知っている4・5歳児にとっては糊やボンドの接着スピードや汚れることは魅力的ではなく敬遠されがちです。見た目はきれいでしっかり接着されますが、そこまでの工程がお子様にとってはセロテープの方が使いやすいのは正直なところです。

担任達も素材や用途を考えながら、時には小麦粉をお湯で溶かした糊を使い、大きな紙にダイナミックに貼ること(ハリボテ)や糊・ボンドの接着を実験方式で見せ、乾燥すると透明になる見た目のきれいさ、接着の強さなどを伝え、糊やボンドの魅力を知ってから遊び始める事もあります。もちろんガムテープやセロテープの良さもありますので、素材や大きさ、用途に応じながら、徐々に「すぐに遊べる」ものから「見た目がきれい」なもの「頑丈で壊れにくい」ものへ意識が変化していくことでしょう。

今後も、手が汚れながらも夢中になっているお子様の目の輝きを大切にしながら、発想豊かな伸び伸びとした時間を存分に作り、試行錯誤しながら正解の無い、工夫する心地良さを感じる自由工作を楽しんでいきたいと思います。

「白樺」園長 品川 晃彦
(「白樺」もえぎ 2024年1月号より抜粋)

人との触れ合いの中で生まれる力

~相手を知る、我慢強く、社会性~

2学期の終業式に、幼児クラスのお子様には『手作りすごろく』をお渡ししました。年末年始にお楽しみいただけましたでしょうか。

スマートフォンやタブレット端末、ゲーム機などが進化して画面の向こう側に存在するであろう対戦相手やコンピューターとの遊びが多くなっている昨今ですが、昔ながらの『すごろく』の遊びには、下記のような育つ力がたくさん含まれていると思います。

  • 一緒に遊ぶ相手とのやりとり(コミュニケーション能力、相手との競い合い)
  • サイコロやコマを扱う動作(力加減や指先への意識)
  • 文字や数字に触れる(拾い読みの機会や数と量との一致)
  • 相手の順番を待つ(社会性、ルールの理解)
  • 最後の結果が出るまで終わらない(勝敗の理解、我慢強さ)

などの要素が詰まっています。トランプやカルタなども同様です。

すごろくは、ゲーム機のように「思い通りにならないから『リセット』ボタンを押してやり直す」、AI相手のゲームにありがちな素早く進み、すぐに自分の順番にする事など、自分の都合が優先されることはありません。社会性が育つ4歳児以降には存分に経験させてあげたい遊びの一つと考えています。

「白樺」園長 品川 晃彦
(「白樺」もえぎ 2023年1月号より抜粋)

カブトムシもセミも「命」

カブトムシの幼虫やミミズなどを捕まえてくるお子様達。担任もその捕まえた(見つけた)嬉しさに共感しながら、飼育する方法や生態など一緒に調べています。その後、飼育ケースを大事そうに持ちながらエサとなる土や葉っぱ、ムシ等を見つけお世話をしています。カブトムシなども無事に成虫となるとさらに興味関心は高まり、ケースから出して遊ぶ日々となります。

そんなムシたちも徐々に弱ってくるので、担任が改めて生態について話し、本人たちが納得した上でお別れをする事があります。特にセミを捕まえると、成虫になってからの寿命の話のあとは「一緒に遊べたから逃がしてあげよう…」と飛び立つセミを見送る、そんな場面が夏にはよく見られています。

4・5歳児になると上記のように昆虫などの生き物への生態について自分たちで調べ理解を深め、「命」の大切さ、愛着なども遊びを通して育まれていきます。

「白樺」園長 品川 晃彦
(「白樺」もえぎ 2022年7月号より抜粋)

どうしてますか?お子様の間食

~保育園の2回食について~

夕方の送迎時、『お菓子食べた~い!』という声が時折、聞こえます。また、晩御飯をあまり食べてくれない…という内容の相談がありますが、よくよく聞いてみると、帰宅後からご飯を食べる前までの間にジュースやお菓子など口にしている状況があるようです。晩御飯が進まない…、集中できない…のは糖分を摂ってしまう事が原因かもしれません

ジュースやお菓子などは添加物や糖分がたくさん入っています、特にジュースには角砂糖10個以上(500ml当たり)含まれるものもあります(野菜ジュースなども角砂糖4個分相当)。

お菓子も種類によっては脂質や人口甘味料が多く入っているものもあり、晩御飯への影響は大きいようです。そして、習慣化することで糖分の摂り過ぎや、食事を嫌がり栄養バランスが偏るなど、虫歯の発症や肥満傾向の体質となります。また将来、糖尿病のリスクが上がるなど、健康に良くないことばかりです。晩御飯前の間食に、お菓子やジュースを口にしているとすれば見直す必要があるのではないでしょうか。

もし、あまりに空腹を感じているようなら、お菓子ではなく、おにぎりやパン(甘くないもの)、蒸かしたイモ、茹でたトウモロコシ、おしゃぶり昆布や食べる煮干しなど、飲み物はお水かお茶に置き換えれば、糖分は抑えられます。その分、晩御飯の時に主食を減らし、おかずを中心に食べれば栄養バランスは良くなります。もし甘いものを欲しがるようなら食後のデザート(少量)程度にしましょう。

保育園では2回食(午前食・午後食)を行っております。食欲と空腹の関係を考慮して、家庭での朝ご飯を7時、夜ご飯を7時と設定し、4時間経過すれば空腹を感じるので、11時と3時にそれぞれ食事を摂っています。3時の午後食の時もご存じのように軽食となり、既製品の甘いお菓子は一切使用しておりません。

一日30食品を目標として、そのうち園での食事では20食品程度摂取するようにし、必要な栄養量をバランスよく組み合わせ献立してあります。また、一日の摂取量は乳児(りす・こあら・うさぎ組)は50%、幼児(さくら・ひまわり・ばら組)は44%ぐらいを目安に保育園で摂れるようにしています。

したがって、残りの必要栄養量(摂取量)は朝晩のご飯で食べる…と考え献立してあります。
※保育園のしおり「保育と栄養」をご参照ください。また、献立表の「朝夕食のヒント」、食育通信のレシピなども参考にしてみてください。

乳幼児期の食事は生涯に影響する重要な身体作りであり、食習慣を決めると言っても過言ではない時期です。直接、お子様の口に入るものだからこそ、今一度、当園の基盤となる『食事』の考え方を家庭にも役立てて頂きたく記させていただきました。

「白樺」園長 品川 晃彦
(「白樺」もえぎ 2022年6月号より抜粋)