「ティッシュください」

園庭から入る事務所前のテラスに2歳児の子ども達3名が一生懸命に靴を脱いでいます。担任はもちろん、大人が誰もいないので、どうしたのかな?とみていると、「ティッシュください」と一人の子が入ってきました。次に入ってきた子が続けて「ティッシュ3こください」、そしてもう一人入ってきました。

「ひとりずつあげればいいのかな?」というと「うん!」。その後、ティッシュを下に置いたり、ポケットにしまったり、それぞれが大切にしながら自ら靴を履き、園庭に向かっていきました。しかし、一人は別の方向に、二人は1歳児の担任の所に向かっていきます。

1歳児の担任から頼まれたのかな? なぜ一人は別の方向に向かってしまったのかな? なぜ3個?… 私の頭の中で疑問が残り、1歳児の担任が事務所に来た時に聞いてみました。急にやってきて「ティッシュとってくるからもってて!」とフラフープを預けられたとのこと、ティッシュを受け取りつつその担任も “?” となっていたとのことでした。

結局は誰が頼んだのか? どうしてフラフープをわざわざ預けたのか? 分からず仕舞いでしたが、ここに子ども達の世界の思考を感じました。お手伝いが大好き、頼まれたお友達が羨ましく自分も行きたい、競えば喧嘩になる、気持ちよくもらうには人数分、遊んでいた遊具を他の子どもに使われてしまうのは嫌…、子ども達との生活の中にいる私は勝手に様々な事が浮かんできました。

決していざこざになることは無く、満3歳を過ぎた子ども達が、今までの数々の経験から自ら考え、友達と交わしていくこの姿に感動しました。正解も間違えもない一見意味の分からないこの行動ですが、このような子ども達の時間・世界を守っていきたいと感じた朝のエピソードでした。

副園長 若山 望
(「櫻」おひさま 2025年12月号から抜粋)