「わかってはいるけど…」

子様たちは遊戯や表現遊びなど、保育室の中はもちろん、園庭でも学年問わずに楽しんでいます。音楽がなるとすぐに踊りだしたり、その姿を見て身体を揺らして楽しむ乳児のお子様達、狼が出てくる表現あそびが始まるとクラスに関係なく逃げたり隠れたり・・・。とても微笑ましい光景を多く見かけます。

3歳児 H君

2階のテラスから塗り絵が一枚ヒラヒラと1階テラスに落ちてきました。その後、激しい泣き声が続き、どうしたのかな?と心配していると、しばらくして担任と一緒に塗り絵を拾いに降りてきました。玩具で遊んでいた時にお友達と喧嘩になり、気持ちを切り替え、塗り絵を始めたばかりに片付けの時間となってしまい、投げてしまったとのことでした。もちろんどこまで塗ったら終わりにするかなど、いつもは自分自身が決めて片付けているので、担任もその姿に驚き対応しても怒るばかりだったとのことでした。担任とのやり取りの後、ようやく気持ちを切り替え、取りにきたそうです。

いろいろな気持ちが重なり、自分でも自分の気持ちに折り合いがつけられなくなってしまったのでしょう。

日ごろ周囲の状況などを受け止め、しっかりしているお子様ほどこのような姿を現すことがあります。 “わかってはいるけど…’’ 小さなお子様が家族と離れる時に、泣きながらも担任に手を伸ばす姿があります。子どもなりに ‘‘わかってはいるけれど、自分の気持ちと葛藤している” そんな健気な姿は、お子様たちの心の成長に大きく繋がっていくのであろうと感じています。

副園長 若山 望
(「櫻」おひさま 2024年12月号から抜粋)