人間が人間らしく育つということを考える
新生児の時から備わっている生理的な快・不快による内面活動から、見たり聞こえたりする外部からの刺激を受けることにより、身体の動きが誘発され、情動が生じ、知能が開発、認識を広げながら人間開発がなされていきます。子どもたちが日々、人として成長行く過程を見守っていると、乳幼児期は、まさに人間が人間らしく育つ開発時期だと感じます。
子どもの育ちにふさわしい環境を
ドアを閉める音を聞く。これは生活の中で当たり前に耳にする音です。しかし、どんな音か、ドアの開閉に続いてどんなことが起きるのか。これらすべてが受けとめる子どもの中に何らかの情動を引き起こし、人柄を形作っていきます。
乳幼児は、自ら育つ環境を選ぶことはできません。だからこそ、周りの大人が、子どもの育つ場にふさわしい「環境」と「人」の両方を整える役割があります。
子どもたちは人と人との関わり合いの中で、体力、知的能力、喜怒哀楽の情動を掘り起こされます。そしてそれは自分を知り、相手を知り、人と仲良く生きるスキルを身に着けることにつながります。乳幼児期は、生きていくのに絶対に必要な機能や能力などを十分に伸ばすだけではなく、科学知識や技術の習得への素地を培い、人間社会への適応性を養う時期といえます。
危険から自分で身を守ることさえできない子どもの命を保障し、発達を促すための意図的な保育、教育的な保育観に基づいた関わり合いをすべての子どもが体験できることが大切と考えています。ただ子ども自身にある「愛されたい」という基本的欲求は、親の就労に関係なく充足されることが望ましいことから、保育園の機能を上手に利用しながらも親でなければできない重責を果たせるよう支援していきたいと考えています。